丹波古来の伝統を重んじながらも、絶えず新しさを求め、常にその時代にあった作品を作り続ける。経験に裏打ちされた丁寧な仕事は、使い手の事を一番に考えたユニバーサルなデザインの中にも熟練の技が成す厚みを感じることのできる作品。
陶芸家である義父の跡を継ぐため、31歳から陶芸の道へ入られた大上裕さん。初代の名前からつけられた「昇窯」、2代目が加わり陽が昇る窯「昇陽窯」へと名前を変え、「自分の作ったものがお客様に使ってもらえて喜んでもらえる。」一生の仕事としてやりがいがあることだと思い、なんの知識や経験もないまま本当に0からスタートされました。その後はお義父様の指導の元、作陶に励み、数々の美術展で受賞されたり百貨店で個展を開催するなど、丹波焼の啓蒙に尽力されてきました。
「欠けにくくて、持ちやすい、重ねやすい、を心がけてます。」手にする人が使っている様を思い浮かべることで、形や厚さが自然と作られていく大上さんの作品は、何事にも丁寧で、優しい気遣いのあるその人柄が現れています。「自分の作品を見た方から、『ほっこりするね、落ちつくね。』と言ってもらえることが一番嬉しい。」と仰る大上さんの、控えめでいて、それでいて存在感のある心地よい器を生活の一部にぜひ。