釉薬の名工が魅せる鮮やかな世界。繊細な中に力強さを感じさせ、美しさにこだわった作品には、作家の志を感じることができる。釉薬の流れがつくり出す美しい世界には目を奪われずにはいられない。使う程に、風味が増していく様をも楽しめる作品。
陶芸がしたい一心で丹波に弟子入りされた仲岡信人さん。 6年間の修行の後、釉薬の謎を知り、仕組みを理解したかったと京都市工業試験場にて釉薬の研究に励まれます。青年海外強力隊員として海外にも赴き、そこでも陶芸に携わってこられました。「今の作品があるのは、そこでの経験や今まで歩んできたこと全てのおかげ」と仰る仲岡さんの作品は、繊細な中にも力強さを感じることができます。
代表作である「彩色灰釉薬」シリーズは釉薬を知り尽くし、妥協を許さない仲岡さんの志と丹波の土、技法がみごとに合わさって生み出されたものです。 「フォルムの美しさと色彩を大切に、機能性をもった美しいモノを造りたい」と力強く語られる仲岡さんの作品は釉薬の流れが美しく、使う程に風味が加わり自分だけの器となってゆきます。「陶芸が生活であり、仕事であり、生活の一部。やっていないとおかしい」と仰る仲岡さんの作品からは今後も目が離せません。